今回、初めて伺った県立T高校。
以前ご依頼いただいていた他の高校から異動でこちらの高校に赴任された音楽の先生から調律のご依頼をいただきました。
そのうちのアップライト1台に「バットスプリングコード」というハンマーを戻す役目のスプリングを固定するための紐が、経年変化による寿命を迎えていて修理させていただくことになりました。

このピアノは「KAISER(カイザー)」というブランドで、日本楽器(現:ヤマハ)の下請け会社だった天竜楽器のピアノです。
アクションやフレームにも「YAMAHA」「NIPPON GAKKI」と記されています。(写真撮り忘れ)

まずは現状の写真です。
紐(スプリングコード)は本来真っ白なのですが、劣化でコゲ茶色です。
この状態ですと普通に弾いていても切れてしましますし、指で軽く引っ張るだけで簡単に切れてしまいます。
実際のところ何本も切れていました。
連打性能も落ちてしまいますし、開放されたスプリングが他の部品に当たって最悪の場合、音が出なくなってしまいます。

 

バットスプリングコード貼替え修理

まずはせっかくの機会なので弦をたくさん叩いたハンマーに付いた深い溝をファイリング(ハンマー整形)します。
この作業は必須だと思うのですが、残念ながらやっていない業者が多々あります。

 

ビフォー → アフター
 

 

 

 

1本1本溶剤を使って劣化した紐を剥がしていきます。
水溶性の接着剤なので水分があれば剥がせるのですが、水は禁物!!
ウチでは揮発性がゆっくりのアルコールを使用しています。
特にこの時期は気温が高いので、シンナー系の除光液やアセトンなどはすぐ乾いてしまって作業性が悪いので・・・
これを88本地道にやります(苦笑)

 

 

これまた地道な作業。
1本1本紐を貼っていきます・・・×88本(汗)
 

 

貼り終わりました〜

 

 

SPS(シミズピアノサービス略称)では必ずダンパースプリングとレバーの接点に雑音防止のクロスを入れています。
緑の部分は製造過程で雑音防止のために塗られた潤滑剤です。残念ながら年数とともに「キシキシっ」と雑音が発生します。
昔は1台1台すべてに雑音防止のクロスが入っていましたが、大量生産のためにやめてしまったようです。
パンチングクロスはいつもポンチで抜いています。
 

 

 

貼替え修理完了!!

 

 

じゃないです・・・(笑)
ここからはこだわりの作業です。
もちろん各ネジの増し締め。
 

 

 

テフロンパウダーで潤滑処理。
 

 

 

これらの作業を絶対にしたいので、SPSではアクションを必ずお預かりしています。
最後に「やった仕事!!」に責任を持つ証としてステッカーを貼ります。
逃げも隠れもしません(笑)

 

 

以上で修理完了です。

 

後日アクションを納めて微調整を済ませました!!


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